水清ければ魚棲まず
先日のNHKためしてガッテン、今が旬のカキのおいしい食べ方を紹介していた。
買い物客の多くが加熱して食べるにもかかわらず、生食用を買っているという。理由は、「生でも食べられるのだから安全でおいしいと思う、高価だし…。」
連れ合いに聞くと「私もそう。」
実際に鍋にして比較していたが、生食用は小さく縮んでさっぱり、加熱用はプリプリのまま。う~ん、まずくして食べていたのか。
加熱用はプランクトンなど栄養たっぷりな沿岸で、生食用は栄養は少ないが、細菌やウィルスのいない沖合で養殖するとのこと。ある程度の汚れ(栄養)のある所に豊かな生産があることを示している。
江戸時代の狂歌を一つ。
「白河の清きに魚の住みかねてもとの濁りの田沼恋しき」
老中白河藩主松平定信の「寛政の改革」の窮屈さを皮肉り、前の田沼意次の融通無碍な賂政治を懐かしむ傑作である。
生態学やら食物連鎖やら、改まった科学知識など持たなかったはずの昔の人の方が、案外ものをよく見ていたのかもしれない。