花粉症
いにしへの人の植ゑけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし 柿本人麻呂 万葉集 花粉症の身に、今年の春はダブルパンチを見舞われたような気の重いものであった。 目は真赤、鼻はずるずる、咳も出てハンカチが手放せない、マスクなしで咳でもしようものならどんな目で見られるか。幸い自粛警察...
フクロウ
「ホッホー、ゴロスケホッホー」 ここのところ、毎晩のように裏の林からフクロウの鳴き声が聞こえてくる。 泊りがけで遊びに来ていた幼稚園児の孫娘に聞かせても、特に怖がる様子はない。タヌキが出るというとひどく怖がるくせに。 暗い林の中から聞こえてくる鳴き声、かなり不気味と思うのだ...
スカーレット
立春も過ぎた2月6日、ようやく今冬初の積雪が見られた。観測史上最も遅い記録のようだ。 こんな日は薪ストーブがありがたい。山と積んだ薪置き場を往復し、燃料を補給する。 翌朝、ストーブに火を入れようと灰をかき混ぜる。出てきたのは赤茶色の見事な素焼きの壺。...
廃線敷のキノコ
11月の例会は廃線敷歩き。昭和60年に廃止された倉吉線跡を歩いた。 現在の山陰線倉吉駅と関金町山守森駅を結んでいたローカル線だ。 当時の雰囲気が残っているのは旧泰久寺駅周辺の一部で、線路の真ん中に生えた孟宗竹や民家の庭先に残るレールなど、異世界に迷い込んだようなたたずまいが...
変身
駐車場の隅のホトトギスの葉を毛虫が食い荒らしている。 毒毛虫かと思われるほどまがまがしいが、毒はない。 ルリタテハの幼虫で、しばらくするとさなぎを経て華麗な蝶に変身する。こんな変身なら大歓迎だが、次のような怖~い「変身」もある。...
扶養家族
今年も裏の林のクマノミズキが花を付けた。華やかとはいえないが、この時期の山野ではよく目立つ。 ミズキに似るが花期がやや遅く、里山に多い。 この樹の葉を毛虫の時に食べる蛾が2種類、この6月に姿を現した。 一つはキアシドクガ、名前は恐ろしいが毒はない。...
帰巣本能
庭にプラスチックの水槽を置いて湿地の植物を植え、蚊の防止にメダカを入れていた。が、どうも様子がおかしい。数が減っている。 水を抜いて掃除をしたら犯人がいた、イモリ。こいつらだ、4匹もいる。いったいどこから来たのか? このままではかなわないと数十メートル離れた裏の林に放り込ん...
田んぼの畔豆
東京電力や関西電力がここ鳥取市内でも大口使用者に安売り攻勢をかけているという。従来の大手電力も負けじと応戦し、電力小売りの自由化は、さながら戦国時代の様相を呈しているかのようだ。 一方、地元企業と鳥取市が出資して作った新電力も、エネルギーの地産地消と地域内経済循環を掲げて徐...
腐狆の湯
首相の目玉政策の一つ、北方領土返還交渉が頓挫している。 2年ほど前になるが、ロシアの大統領が首相の招待を受けて長門の温泉にやってきた。最大級のもてなしで親密さをアピールしたつもりであったが、彼はわざとのように遅れて到着し、素気のない態度で帰っていった。...
お滝さん
この冬は暖かい日が多く、今のところ雪も例年に比べて極めて少ない。 立春を控えて梅は既に咲き、沈丁花の芳香が漂うのもすぐの間。紫陽花の芽はまだ固いようではあるが。 少し前、牧野富太郎博士の偉業をテレビで放送していた。植物の研究に没頭する博士と彼を支える妻、寿衛(すえ)さんとの...