花粉症
いにしへの人の植ゑけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし
柿本人麻呂 万葉集
花粉症の身に、今年の春はダブルパンチを見舞われたような気の重いものであった。
目は真赤、鼻はずるずる、咳も出てハンカチが手放せない、マスクなしで咳でもしようものならどんな目で見られるか。幸い自粛警察にとがめられることはなかったが。
ところでスギは日本特産種で、真っ直ぐに育つことから「直ぎ」と名付けられたとの説があるように、古来からヒノキとともに建築材として重用されてきた。
人麻呂の歌からは、万葉集の編まれるはるか昔からスギが植林されていたことを伺い知ることができる。
「杉が枝の霞」は舞い上がった花粉であろうと、植物学者の小塩海平氏が雑誌に書いていた。
万葉の昔にも原因は分からないまでも花粉症に悩む人はいたのか、いや、腹にたくさんの寄生虫のいた時代はアレルギーはなかったというから・・・・閑居していろいろ考える。
来年の春は、ようやく届いたアベノマスクで気兼ねなく外出しようか。