葉桜
自宅裏の数本のヤマザクラ、あっという間に葉桜となった。
近くの農道から見上げると、微妙にその色合いが異なる。花を咲かせた時期も少しずつずれていた。
今や桜の代表格となっているソメイヨシノは江戸時代末期に発見され、その華やかさからもてはやされて全国に普及しているが、元は1本の樹で接ぎ木によって増やされたものである。
全国にどれだけの数が植えられているのか想像もつかないが、同じ顔をした美女と思えば面白みに欠ける。
この点、野生種のヤマザクラは多様な遺伝子を持つため1本づつ性質が異なる。ミス・ユニバースコンテストの並みいる美女を前にしたようなものか。
葉桜見物の後、鹿野祭り宵宮に出かけた。民家の軒につるされた家紋入り提灯、遠く城山神社から漏れ聞こえる太鼓や笛の音。城下町らしい情緒に満ち溢れていた。
ヤマザクラが散って10日も経つと近くの山は新芽の淡い緑に包まれる。その中にその名もカスミザクラがぼおっーと白い花を浮かび上がらせる。
時期の遅いヤマザクラと思われているが、歴とした別種である。桜の季節はまだ続く。