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桃源郷を見つけに

 4月中旬の自宅に近い小山、木々の新芽と可憐なカスミザクラがパステルカラーの世界を作り上げる。

 息をのむほどの美しさだ。

 一瞬の時を経て緑一色に染まっていく。

 もう10年も前であったろうか、島根県の80代も後半の男性が「農村の自然に余生を送る幸せ」と題して新聞に投稿していた。

小雨にけむる山に薄日が差し、晩秋の紅葉が鮮やかに浮かび上がる。自然は貴い。こうして四季を繰り返して、私たちをはぐくんでくれるのだ。私たちの住む地方は開発もそう進んでいないため、この自然の美しさを眺めることができる。都会ではいながらにしてこんな風景は見ることができない。・・・・農村に生まれ、農村に老いることのできた私の人生に感謝したい。

 そして、仕事を求め町に出て行った人たちに、せめて定年後は墳墓の地、故郷へ帰ってきてほしいと呼び掛ける。最後は次のように結ばれていた。

この巡りゆく自然の中で、静かに余生を送ることは至福のかぎりと思う。

 桃源郷とは中国思想で「理想郷」を指す。

 桃源郷とはどこかこの世にあるものではなく、自分の心の中に存在するものだという。

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