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ユウスゲ

 庭先に植えているユウスゲが花を付けた。

 海岸や山地の草原に自生しており、今年の花付きはどうかと日本海に突き出た近くの岬、長尾鼻に出かけた。日本海に日が落ちる夕日の名所でもある。

 この長尾鼻周辺に「原発の計画!」と地元紙が伝えたのは1980年代の初めであったろうか。電力会社は否定したものの反対運動は盛り上がり、計画が具体化されることはなかった。

 国道からそれて細い道を岬に進む。途中、ネットで囲われ、苗が植えられたばかりのサツマイモ畑が目に入る。当時、多くの有志が「反原発一坪地主」として入手した土地のひとつである。

 行き止まりの広場に車を置き、海を臨む岩場に降り立つと、ユウスゲは夕日を浴びてかすかな風に揺れていた。夕方咲いて朝にはしぼむ一日花。花の寿命は短いが、次のつぼみが控えていた。

 当時の運動を担った者の多くは高齢化したが、活動は続き脈々と次世代に引き継がれている。秋の芋堀りは今年も子供たちでにぎわうことであろう。

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