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山鯨

 知人からイノシシ肉を頂戴した。

 薄くスライス、さあどうぞとすぐ料理できるように処理したもの。

 すき焼き風で食した。うまい。

 有害駆除された尾頭付き、毛皮付きのイノシシやシカをもらい、人目の付かない裏庭の木にロープでぶら下げ、何頭か解体処理した経験がある。

 冬季以外の野生獣肉は脂がなくうまくない。妻の「もう止めて!」という悲鳴のような訴えもあって、最近は自らは処理していない。

 日本では仏教の影響もあって、江戸時代までは獣肉食を禁忌する風潮があった。

 一方、クジラについては、よさこい節ではないが魚の仲間と考えており、全くこだわりを持たなかったという。

 このため、おいしいイノシシやシカを食べるについては、「山クジラ」と称して疚しさをごまかしていたらしい。

 今年、年も押し詰まって日本は国際捕鯨委員会からの脱退を表明した。反捕鯨国の包囲網に耐え切れず、脱退して商業捕鯨を再開するらしい。短気は損気、国際世論に反してまで世界中で愛されている野生動物を食用にする必要があるのか。

 どうしても野生動物を食べたいのなら、日本中で増え過ぎて農業、林業、生態系に悪影響を与えている厄介者の「山鯨」をぜひともお勧めしたい。「海鯨」よりずっと旨いよ!

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